Right Cross
医師による診断は、急な発熱というものだった
アヤが寝かされているベットの傍に、アイルは座っていた
そっとアヤの髪を撫でる
「どうして…こんなことになったの?旅なんて、おかしいだろ…?」
傍に立っている二人を、鋭い緑色の目で見つめる
「…実は、先日我が国は反乱軍により街を攻撃されました」
それを聞き、アイルは眉をぴくっと上げる
「反乱軍が……?なんでだろう、どんだけいてもアステリアには勝てないだろ…?」
「…反乱軍の中に、魔術師がいるみたいで。それも強力な。…奴らは宝玉を狙っているらしいです」
アイルは頭の中を整理し、一つの結論に辿りついた
「そういうこと……宝玉に触れられるのは今アヤちゃんだけ。奴らの狙いはアヤちゃん。…だから、逃げてるってこと…?」
「まぁ、大体は。」
はぁ〜とため息をつくと、眠るアヤに目をやる
「…久しぶりに逢うのにね…こんな形になるなんてさ。」
アヤを見つめる目を見て、ロイドは思った
アイル陛下は、アヤが好きなんだろうか…
アヤちゃん、なんて呼ぶ程仲が良いのか…?
もやもやした気持ちを振り切るように、喉に水を流し込んだ