Right Cross


――――――――――



アヤが神殿の中に足を踏み入れた瞬間、周りの空気が一気に変わる





教会のような作りだったはずなのだが、今は見渡すかぎりの真っ白な世界。





「ここは……?」





(…よく来たな、神の召し子よ。)




――声が、した






「…あなたは誰ですか?姿を見せてください」




そう言うと、それは出来ぬ。と返事が返ってきた





(……我はグリンコースの宝玉を守る者。…シリアの力の分身だ)




「では、私のすべきことが分かっていらっしゃる…?」




(…そうだな。…だが簡単にやらせる訳には行かぬ。)




「なぜっ……?」





(…力を込めると同時に、我は消える。力の足しにならねばならん。…お前にも力が与えられるだろう。その負担は計り知れぬものだぞ?受けとめる覚悟はあるのか…?」





負担……シリア様がおっしゃっていた身の保障は出来ないとはこの事…





でも、あたしは負けない。




そう決めたんだもの。






「私は、いかなる事があろうと負けません。それが、私自身を苦しめる事になっても。…みなが幸せになれば、それで良いのです。」





(そうか……さすがシリア殿の力を受け継ぐ者だな。よかろう、だが決して無理はするなよ…アヤ。)





そう言って声は消え、また元の風景に戻った



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