Right Cross




―――――――――





「くっ……俺としたことが情けねぇ…っ」



肩を押さえながら歩いていると




「アース。派手にやられたな。…それほどまでに強いか、姫の力は」




目の前に黒い長髪の男が現われた




「デュオス様………」




「……思ったよりも強いみたいだな、アース。…次はこのようなミスは許さんぞ」




「……御意。」




去っていく後ろ姿を見ながらアースは思った





「……姫さんは、俺らじゃ太刀打ちできないかもしれません……」






あの魔力を弾き返すとは、どれ程の力なんだろうか。





もしかしたらデュオス様でも………




そこまで考えて、頭を振る




「そう簡単に行かせるかよ…!!」






首にあるネックレスをぎゅっと掴むと、また歩き出した






「…アヤは……誰にも渡さない。」






その呟きは、静かに闇の中へ消えていった



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