Right Cross
予感
その頃噂の姫はというと―
「くしゅん。」
ん…風邪でも引いたかなぁ
突然のくしゃみに首を傾げながらも、いつも行く神殿へむかった
城内の庭を抜け、少し歩くと教会のような建物が見えてくる
毎日ここでアヤはお祈りを捧げているのだ
扉を開くと、ステンドグラスに反射された光が幻想的な雰囲気を醸し出していた
「……シリア様。」
見上げるそこには、女神の像があった
「…今日もこの国に幸あれ。民に幸あれ。」
そう言って目を閉じると、頭の中に声が響く
(アヤ、今日は何か嫌な予感がします…)
「嫌な予感、ですか…?」
(えぇ。ここのところずっと何かが不吉な予感をもたらしているのです…気をつけなさい。アヤ)
「わかりました。シリア様にご加護を…」
そう言ってアヤは神殿を出た
アヤは幼き頃から、地を治めるというシリアと会話ができていた
このことは両親以外知らない。
「嫌な予感………」
何か胸に騒つくものを感じながら、アヤは部屋に戻っていった