【短】6秒-ロクビョウ-
家に帰って、暗く静かな部屋に座りこんだ。
思わず逃げてしまった。
何を言われるか怖かった。
今さらあの時の言い訳?
それとも「あの時はごめん。俺も若かった。」とでも言ったのだろうか?
賢悟…スーツ着てた。
あの頃もう1度、朝スーツを着て家を出る賢悟が見たかった。
7年たって、ようやく見れた賢悟のスーツ姿。
そう…7年もたっているんだ。
馬鹿な賢悟もさすがに、今はあの頃のいつも部屋着姿の不甲斐ない賢悟じゃないんだ。
付き合った当初に見ていた、スーツ姿。
賢悟はあの頃どんな気持ちだったんだろう?
何を考えていたんだろう?
なんで、もっと話合わなかったんだろう。
ちゃんと話し合っていれば、あのスーツ姿の賢悟をすぐにでも見れたかな?
7年たった今となっては、分からないままだ。
思い出すと、後悔しか残ってない。