【短】6秒-ロクビョウ-



せめて



最後の


あの6秒の賢悟のメッセージだけでも



返せばよかった。



『さよなら』でも『馬鹿』でもなんでも…



バッグから携帯を取り出す。


今でも覚えている番号を

震える手で押した。


「俺この番号気に入ってるからぜってぇ変えねぇ。だって下4桁が、美歌の誕生日なんだよ?」


嬉しそうにそう言っていた賢悟。

7年も前だ…私とは別れてるし、変わってるかもしれない。


もし、賢悟に繋がるなら伝えたい。


震える手で携帯を耳に当てた。



「ただいま電話に出ることが出来ません…」



コールはなる事がなく、直接留守番電話に繋がった。


留守番電話…


賢悟が私に伝えた最後の言葉も


たった6秒の留守番電話だったな…。



< 15 / 18 >

この作品をシェア

pagetop