【短】6秒-ロクビョウ-
せめて
最後の
あの6秒の賢悟のメッセージだけでも
返せばよかった。
『さよなら』でも『馬鹿』でもなんでも…
バッグから携帯を取り出す。
今でも覚えている番号を
震える手で押した。
「俺この番号気に入ってるからぜってぇ変えねぇ。だって下4桁が、美歌の誕生日なんだよ?」
嬉しそうにそう言っていた賢悟。
7年も前だ…私とは別れてるし、変わってるかもしれない。
もし、賢悟に繋がるなら伝えたい。
震える手で携帯を耳に当てた。
「ただいま電話に出ることが出来ません…」
コールはなる事がなく、直接留守番電話に繋がった。
留守番電話…
賢悟が私に伝えた最後の言葉も
たった6秒の留守番電話だったな…。