【短】6秒-ロクビョウ-
でも、そんな馬鹿な所が好きだった。
裏工作なんかして、後で嘘だって分かるより良かったと思う。
けれど、嘘をつくならもっと上手くついてほしかった。
馬鹿な男…
信じてたのに
涙が溢れた。
『そのスーツとYシャツの意味分かってる?
Yシャツにシワもないし、もう1ヶ月以上クリーニングにも出してない!
賢悟は着てないって…面接に行ってないの、知ってて知らないふりしてたッ!
信じてたから…』
涙を流しながら怒鳴る私の言葉に、賢悟は目を大きく見開いた後、ゆっくりと目の前に落ちるYシャツを1枚手に取り見つめた。