月影
「葵は悪くないよ?」
ホスト、って仕事が悪いのかもしれない。
でも、人は誰でも癒されたいし、需要と言う名の求める気持ちがあることも当然で、結局は目に見えないものに怯え、目に見えないものを壊してしまったのだろう。
そんなことが、また悲しかった。
「今日さ、泊まっていきなよ。」
明け方近く、やっと葵は眠りに落ちた。
頬には涙の痕が残ったままで、散々泣き続けて眠った、と言えば良いだろうか。
痛々しい姿に、結局あたしはロクな言葉を掛けてやることも出来なかったし、そんな姿を前に、大丈夫だと言って笑い飛ばせるほどの力もなかった。
大事な友達にですら何も言えなかったあたしが、キャバなんか続けてて良いのだろうか、と頭の片隅にもやもやとしたものが残る。
ひとつため息を零しあたしは、そっと携帯片手に部屋から出た。
『…レナ?』
何だか久しぶりに、声を聞いた気がする。
明け方とは名ばかりの、まだ薄暗い空色に吐き出した吐息は白く、電話口の向こうを想像した。
ホスト、って仕事が悪いのかもしれない。
でも、人は誰でも癒されたいし、需要と言う名の求める気持ちがあることも当然で、結局は目に見えないものに怯え、目に見えないものを壊してしまったのだろう。
そんなことが、また悲しかった。
「今日さ、泊まっていきなよ。」
明け方近く、やっと葵は眠りに落ちた。
頬には涙の痕が残ったままで、散々泣き続けて眠った、と言えば良いだろうか。
痛々しい姿に、結局あたしはロクな言葉を掛けてやることも出来なかったし、そんな姿を前に、大丈夫だと言って笑い飛ばせるほどの力もなかった。
大事な友達にですら何も言えなかったあたしが、キャバなんか続けてて良いのだろうか、と頭の片隅にもやもやとしたものが残る。
ひとつため息を零しあたしは、そっと携帯片手に部屋から出た。
『…レナ?』
何だか久しぶりに、声を聞いた気がする。
明け方とは名ばかりの、まだ薄暗い空色に吐き出した吐息は白く、電話口の向こうを想像した。