月影
基本的にあたし達は、電話もメールもすることはない。
何故なら、さほど話す内容がないからだ。
あったとしても今から行くわ、とかその程度だし、一言で終わることが多い。
久しぶりにジルからの電話が鳴ったのは、それから数日後だった。
「あたし、もうすぐ誕生日なんだぁ。」
『…いつ?』
「もうすぐ。」
『…いつだよ。』
「もうすぐ、いや、ちょっと先?」
笑うあたしを、彼は酔っ払いめ、と一蹴した。
空けて欲しいとは言えないし、ジルは諦めるようにそれ以上は追及しない。
生まれてきた意味すらもわかんないのにおめでたいとも思わないし、ましてや期待すらもしたくなかった。
彼は電話口の向こうでため息を吐き出してくれる。
『お前が電話してきたら祝ってやるよ。』
どうしたものかな、と思ってしまう。
すっかり春になって、もうすぐハタチの誕生日が迫っている。
何故なら、さほど話す内容がないからだ。
あったとしても今から行くわ、とかその程度だし、一言で終わることが多い。
久しぶりにジルからの電話が鳴ったのは、それから数日後だった。
「あたし、もうすぐ誕生日なんだぁ。」
『…いつ?』
「もうすぐ。」
『…いつだよ。』
「もうすぐ、いや、ちょっと先?」
笑うあたしを、彼は酔っ払いめ、と一蹴した。
空けて欲しいとは言えないし、ジルは諦めるようにそれ以上は追及しない。
生まれてきた意味すらもわかんないのにおめでたいとも思わないし、ましてや期待すらもしたくなかった。
彼は電話口の向こうでため息を吐き出してくれる。
『お前が電話してきたら祝ってやるよ。』
どうしたものかな、と思ってしまう。
すっかり春になって、もうすぐハタチの誕生日が迫っている。