月影
昨日と今日の境目なんて時計の針が進む程度の違いで、じゅーくもハタチも何が違うのかはわからなかった。
普段はご飯を奢ってくれるだけでも珍しい岡ちゃんが、ハタチは記念だから、とこの日のために、ドレスを用意してくれていた。
薔薇のように真っ赤なドレスのあたしは、今日の主役。
ちなみに、白はウエディングドレスまで待て、とのこと。
キャバクラのバースデーってのはとにかく全てが圧巻で、花の数もさることながら、ほとんどの座席があたしのお客で埋まっている。
みんなが祝ってくれるあたしの左手首には、相変わらずのブルガリのブレスが輝いていた。
だけどもこれをくれた本人は、どこを見渡しても姿はない。
「レナ、おめでとう。」
「ありがとー!」
それでも、レナだとしても、自分の誕生日をこんなにも多くの人に祝われたことなんてなくて、それはそれで嬉しくもあった。
偽物だけど、嘘の仮面を被ってるけど、みんなはそんなあたしを好きでいてくれて、そして祝福してくれるのだ。
あんな嘘つきな男よりは、ずっと良い。
たくさんのプレゼントと、たくさんの花束に囲まれながらあたしは、嘘なのか本当なのかわかんない満面の笑みで笑ってた。
今まで存在価値さえなかったようなあたしが、今日だけは、主役のスポットライトを浴びているのだ。
喜ぶべきなのか、悲しむべきなのかはわからないけど。
今日はいつも以上に飲みまくったけど、葵は見逃してくれてるのか、何も言わなかった。
そういえば、拓真も後輩クンと顔を出してくれたけど、その頃にはあたし、ヘロヘロだったし、正直あまり相手をすることが出来なかったのは、申し訳ないと思う。
それでも、それほどまでに今日だけは、お客を大事にしたかったのだ。
多分あたしは、この仕事が前ほど嫌いではなくなっていたのかもしれない。
普段はご飯を奢ってくれるだけでも珍しい岡ちゃんが、ハタチは記念だから、とこの日のために、ドレスを用意してくれていた。
薔薇のように真っ赤なドレスのあたしは、今日の主役。
ちなみに、白はウエディングドレスまで待て、とのこと。
キャバクラのバースデーってのはとにかく全てが圧巻で、花の数もさることながら、ほとんどの座席があたしのお客で埋まっている。
みんなが祝ってくれるあたしの左手首には、相変わらずのブルガリのブレスが輝いていた。
だけどもこれをくれた本人は、どこを見渡しても姿はない。
「レナ、おめでとう。」
「ありがとー!」
それでも、レナだとしても、自分の誕生日をこんなにも多くの人に祝われたことなんてなくて、それはそれで嬉しくもあった。
偽物だけど、嘘の仮面を被ってるけど、みんなはそんなあたしを好きでいてくれて、そして祝福してくれるのだ。
あんな嘘つきな男よりは、ずっと良い。
たくさんのプレゼントと、たくさんの花束に囲まれながらあたしは、嘘なのか本当なのかわかんない満面の笑みで笑ってた。
今まで存在価値さえなかったようなあたしが、今日だけは、主役のスポットライトを浴びているのだ。
喜ぶべきなのか、悲しむべきなのかはわからないけど。
今日はいつも以上に飲みまくったけど、葵は見逃してくれてるのか、何も言わなかった。
そういえば、拓真も後輩クンと顔を出してくれたけど、その頃にはあたし、ヘロヘロだったし、正直あまり相手をすることが出来なかったのは、申し訳ないと思う。
それでも、それほどまでに今日だけは、お客を大事にしたかったのだ。
多分あたしは、この仕事が前ほど嫌いではなくなっていたのかもしれない。