月影
それからの日々は、混乱そのものだった。
店長やマネージャーがどこからかスカウトしてきた女の子達がやってきて、アイズ自体は変わりなく営業されたが、もちろん既存の子たちとの不協和音は拭えない。
葵は何事もなかったかのように小柴会長と居るし、店長とも白々しい会話を交わすのみ。
ただ、あたし達の間に刻まれた溝は、もう埋められなかった。
サキちゃんもプロらしく普通の顔して接客しているものの、新しい店を探している最中なのだと教えてくれた。
一度来店してくれた岡ちゃんまでも、空気が悪い、と言葉を残し、早々に帰っていく始末。
そんな中で彩だけが着実に上に登っていき、したたかさを見た気がした。
ジルとのセックスは、もっぱら屋外に変わった。
もちろんそれは、あたしが望んだこと。
その度に、快楽でも痛みでもなく、ただ自分の中に溜まった膿を出すかの如く、涙が零れるのだ。
ジルは嫌がって、本気で犯してるみたいだ、と言っていたが、ホテルの綺麗なベッドの上で、煌めくシャンデリアに照らされて、セックスをしたくなかった。
黒く黒く、こんな行為を塗り潰したかったのだ。
ジルの仕事は少し落ち着いたのだとか言ってたけれど、今はあたしの方が余裕なく見えているらしい。
彼はただ悲しそうな顔で、いつもあたしを抱き締めるだけ。
ジルは辞めろとも続けろとも言うことはなく、あたしの求めることだけをしてくれる。
それでも、どんなに苦しくても辞めなかったのは、“アイズのレナ”としてしか、自分の居場所がなかったから。
店長やマネージャーがどこからかスカウトしてきた女の子達がやってきて、アイズ自体は変わりなく営業されたが、もちろん既存の子たちとの不協和音は拭えない。
葵は何事もなかったかのように小柴会長と居るし、店長とも白々しい会話を交わすのみ。
ただ、あたし達の間に刻まれた溝は、もう埋められなかった。
サキちゃんもプロらしく普通の顔して接客しているものの、新しい店を探している最中なのだと教えてくれた。
一度来店してくれた岡ちゃんまでも、空気が悪い、と言葉を残し、早々に帰っていく始末。
そんな中で彩だけが着実に上に登っていき、したたかさを見た気がした。
ジルとのセックスは、もっぱら屋外に変わった。
もちろんそれは、あたしが望んだこと。
その度に、快楽でも痛みでもなく、ただ自分の中に溜まった膿を出すかの如く、涙が零れるのだ。
ジルは嫌がって、本気で犯してるみたいだ、と言っていたが、ホテルの綺麗なベッドの上で、煌めくシャンデリアに照らされて、セックスをしたくなかった。
黒く黒く、こんな行為を塗り潰したかったのだ。
ジルの仕事は少し落ち着いたのだとか言ってたけれど、今はあたしの方が余裕なく見えているらしい。
彼はただ悲しそうな顔で、いつもあたしを抱き締めるだけ。
ジルは辞めろとも続けろとも言うことはなく、あたしの求めることだけをしてくれる。
それでも、どんなに苦しくても辞めなかったのは、“アイズのレナ”としてしか、自分の居場所がなかったから。