月影
「結局レナちゃんは、ジルのこと何も知らんわけやろ?
アイツはレナちゃんが思っとるような男やない、ってことや。」


「…どういう意味?」


「ヤり捨てられるだけならマシ、ってこと。」


そして、ジルとは切れろ、とギンちゃんは付け加えた。



「レナちゃん、泣くだけじゃ済まんようになるかもしれんで?」


「…何であたしにそんなこと言うんですか?」


これは、ギンちゃんの作戦か何かだろうか。


だけども彼は、「ムカつくからや。」とだけ言い、さっさとあたしに背を向けた。



「アイツ、あんなん続けてたらマジでパクられんで。」


そしてそんな台詞を残し、立ち去ってしまう。


ジルはお金を稼ぐためなら人だって殺すのかもしれない、と思ったことがあった。


その瞬間に思い出したようにゾッとして、携帯を取り出したが、結局どうすることも出来なかった。

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