月影
「…誕生日…」
気付けば口から漏れていた。
だけどもジルではなく彩が、「誕生日?」と反復させ、首を傾げた。
その瞬間、ハッとした。
「…あたし、もしかしなくても邪魔だよね?」
「レナさん、待ってください!」
これ以上、あたしにここに居ろということだろうか。
笑顔で言ったはずなのに、彩に引き留められ、立ち去ることが出来なくなった。
「どうしたの?」
「…あのっ、これはっ…」
「心配しないでよ、彩。
これって店の外だし、別に指名替えってわけでもないから、ペナルティーでもないでしょ?」
何でこんなことを言っているのだろうか。
でも、彩のほっと安堵したような表情を見ると、そういうことか、と力さえ抜けていく。
ジルがギンちゃんと一緒になって店に現れたあの日、表立って彩を指名出来ない彼の代わりに、フリーのギンちゃんに指名させたのだろう。
あたしの前で、何食わぬ顔で。
「それに別に、その人あたしの彼氏とかでもないし。」
だってあたし達は、付き合ってなどいないのだから。
だからどこで誰と何をしてようが、関係すらない。
だけどもわざわざ言葉にした分だけ、虚しさは増した。
「彩、今日出勤でしょ?
遅刻しない程度にしなきゃ、あの店長怖いよ?」
レナさん、と彼女はあたしに、いつもの甘ったるい笑顔を向けてきた。
「あたし、本気です。」
気付けば口から漏れていた。
だけどもジルではなく彩が、「誕生日?」と反復させ、首を傾げた。
その瞬間、ハッとした。
「…あたし、もしかしなくても邪魔だよね?」
「レナさん、待ってください!」
これ以上、あたしにここに居ろということだろうか。
笑顔で言ったはずなのに、彩に引き留められ、立ち去ることが出来なくなった。
「どうしたの?」
「…あのっ、これはっ…」
「心配しないでよ、彩。
これって店の外だし、別に指名替えってわけでもないから、ペナルティーでもないでしょ?」
何でこんなことを言っているのだろうか。
でも、彩のほっと安堵したような表情を見ると、そういうことか、と力さえ抜けていく。
ジルがギンちゃんと一緒になって店に現れたあの日、表立って彩を指名出来ない彼の代わりに、フリーのギンちゃんに指名させたのだろう。
あたしの前で、何食わぬ顔で。
「それに別に、その人あたしの彼氏とかでもないし。」
だってあたし達は、付き合ってなどいないのだから。
だからどこで誰と何をしてようが、関係すらない。
だけどもわざわざ言葉にした分だけ、虚しさは増した。
「彩、今日出勤でしょ?
遅刻しない程度にしなきゃ、あの店長怖いよ?」
レナさん、と彼女はあたしに、いつもの甘ったるい笑顔を向けてきた。
「あたし、本気です。」