月影
「あ、霧島シュウ?
探してるけど、手がかりゼロだわ。」
「…そう。」
「つか、捜索願いとか出した方が早くない?」
「出してる、らしいよ。
でも、自分から出て行ったなら探すの難しいだろう、って。」
らしいよ、と言ったのは多分、シュウと近しい間柄だと思われたくなかったからだろう。
そして詳しいことを言えば、あたしのことだって探られそうで、それも怖かったんだと思う。
「自分から出て行ったんだったら、事件性ねぇじゃん。
なら別に問題ねぇし、18だったらひとりでも適当にフラフラやっていけるよ。」
「…それじゃ、ダメなの…」
「何がダメなんだよ?
つか、自分から出て行ったヤツを探し出したって、戻ってくるわけねぇだろ?」
「でもダメなの!」
そう、思わず声を荒げてしまえば、彼はうんざりした様子で肩をすくめた。
まぁ、それもそうだろう、だって詳しいことは何ひとつ教えないで、名前と年と顔写真だけで探してくれ、と頼んでいるのだから。
「お前にとって、そいつって何?」
「憎んでるの。
それだけしか言えない。」
やっぱりジルは、呆れたような顔をしていた。
口の中にはビールの苦味が広がっていて、アルコールの所為で心臓の鼓動はいつもより早い。
「…お願いだから、早く見つけてよっ…!」
シュウが死体として見つかったら、あたしの感情の行き場がなくなる。
アイツのために費やしてきたこの一年半も、ううん、今までの我慢全てが無駄になってしまうのだから。
だからこそ、生きてるシュウを見つけ出して、殴り飛ばして罵ってやりたいのだ。
アンタの所為であたしの人生めちゃくちゃになったんだよ、って。
探してるけど、手がかりゼロだわ。」
「…そう。」
「つか、捜索願いとか出した方が早くない?」
「出してる、らしいよ。
でも、自分から出て行ったなら探すの難しいだろう、って。」
らしいよ、と言ったのは多分、シュウと近しい間柄だと思われたくなかったからだろう。
そして詳しいことを言えば、あたしのことだって探られそうで、それも怖かったんだと思う。
「自分から出て行ったんだったら、事件性ねぇじゃん。
なら別に問題ねぇし、18だったらひとりでも適当にフラフラやっていけるよ。」
「…それじゃ、ダメなの…」
「何がダメなんだよ?
つか、自分から出て行ったヤツを探し出したって、戻ってくるわけねぇだろ?」
「でもダメなの!」
そう、思わず声を荒げてしまえば、彼はうんざりした様子で肩をすくめた。
まぁ、それもそうだろう、だって詳しいことは何ひとつ教えないで、名前と年と顔写真だけで探してくれ、と頼んでいるのだから。
「お前にとって、そいつって何?」
「憎んでるの。
それだけしか言えない。」
やっぱりジルは、呆れたような顔をしていた。
口の中にはビールの苦味が広がっていて、アルコールの所為で心臓の鼓動はいつもより早い。
「…お願いだから、早く見つけてよっ…!」
シュウが死体として見つかったら、あたしの感情の行き場がなくなる。
アイツのために費やしてきたこの一年半も、ううん、今までの我慢全てが無駄になってしまうのだから。
だからこそ、生きてるシュウを見つけ出して、殴り飛ばして罵ってやりたいのだ。
アンタの所為であたしの人生めちゃくちゃになったんだよ、って。