flower music
『夏花!?』


『花梨?』


保護者の方々が一斉に立ち上がる。


『久しぶり。』


お母様は目を細め、ニコリと笑った。



『でも何で今頃?


もしかして光輝君と………。』



『別れてないわ。


やっと大きな問題が終わったから、


そろそろ9999代目神主としての役目を果たさなきゃ♪と思って。』


お母様は来賓席に座っている桜達のお母さん達を見た。


『桃実・楓・杏。


今までごめんね。』


『……お帰り、花梨。』


『ったく遅い!!!!』


『……良いとこ取り。』


それぞれ、飛びっきりの笑顔で迎えた。


みんなで抱き締め合うお母様達。


その姿は、長い別れの後に訪れた再会を待ちわびた少女達のようだった。


パチパチパチパチパチパチ………



その姿を見た人達は、自然と手を叩いていた。


良かったね、お母様。

都会に行けば、


たくさんの物を失う。

いつも傍にいた自然。


緩やかな日々。



今、お母様はそれを取り戻したと思う。


そしてあたしは静かにマイクを置いた。


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