flower music
……………………………
『あ~あ!!これでお別れか………。』



卒業式も終わった最後の放課後。


静まり返った教室に、あたしと百合花がいた。


『……百合花はさ、

これからどうするの?』


『………あたしは、


親から受け継いだ物を受け継ぐよ。』


『と言うことは……?』


『4月から、“咲田”から“咲坂”に名前を変える。』


大人びた笑顔で、百合花は微笑んだ。


『あたしね?


本当は、静かにこの島で暮らしたかった。


だけど、幸せボケしないようにあたしは生きてく。


顕一もね?


イギリスに行くんだって。』


『え!!??』


知らなかった。


顕一がイギリスに行くなんて。


『これは、母さんとの約束だって。


百合花と恋はしない。


恋愛感情は持たないって。


もしも認められたいなら、


二年間、イギリスであたしに相応しい男になって帰ってきなさいって。


だから今日は行けない。


海斗君の見送りは、


向日葵だけがいいしね♪』



そう言う彼女の顔は、

夕日に照らされ、頬がキラリと光った。


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