flower music
『向日葵。


好きな人と別れるって、こんなにも辛いんだね。


あたしはまだ顕一と少ししかふれ合ってない。


それだけでこんなに哀しいのに、


向日葵は生まれてからずっと一緒だったんだよね?


だから今、何となく向日葵の気持ちが分かる。

でもそれはあたし達が大人になるための試練だって思うの。


あたし達はまだ15。


今から生きようとする人生のほんの一部しか生きてない。


だけど今日までの日々、色んな事が起こった。


だから今日で切り替えよう!!

昔を懐かしんでる暇なんかないから。

今日でちゃんと踏ん切りをつける。』


すごい、スゴいよ。


いつも百合花はあたしの前に立ってる。


お金持ちなのに媚びらない百合花。

執事の顕一君を想ってはいけないのに一途に想い続けた百合花。


色んな面であたしは百合花を尊敬するよ。




『………また、会えるよね?』



あたし達と言う言葉はあえて削った。


『もちろん。』


それは一番百合花らしい真っ直ぐな声だった。



そしてあたしはその場を立ち去った。



あたし達はまた、必ず再会する。



花と、音色と、人々の笑顔が咲き誇るこの島で。



そしてあたしは、ファンファーレが鳴り響く花のアーチを潜り、



愛しい人へと走っていった。



あたしは振り返らない。


だから待ってて。


いつかみんながこの島に集まった時まで、



あたしは強くなるから。


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