flower music
『おいおい。

泣かないって約束だろ?』


『分かってるもん!!』


最後まで強がるあたしを、


あなたは自然に抱き締めた。









『……必ず、帰るから。』



海斗の言葉は、まるで自分に言い聞かせているようだった。



『……浮気したらダメだよ?』


それがあたしの返事。


噛み合ってないけど、


今は一番怖いのは、離れて浮気される事。



だから念を押した。


『分かった。』



そしてあたし達は、









誓いのキスをした。



何が起こってもいい。


ただ、あたしはあなたの幸せを願う。



そしてあたしは信じる。


あなたの帰りを待ち続ける。



好きでい続ける。



あたし達は名残惜しながらも離れた。



『じゃあね……。』



『ああ……。』


海斗は前を振り向き、ゆっくりと歩き出した。


あたしは少し前に進む。


だけどすぐに歩みをやめた。




バラバラバラ……。



飛行機のプロペラ音が響く。


あたし達はそれでも見つめあったまま。



あたしは最後に叫んだ。









『flower musicで待ってるから!!!!』









flower music



あたし達の恋は、


花のように儚く終わらず


音色のように綺麗に完成していく、



そんな意味を込めて、








あたしは待ち続ける。


今度、あなたに手紙を送る時に送るよ。




満開に咲いた、向日葵の写真と



向日葵の花言葉、









『あなたを一生愛する』




を添えて。




end
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