春の終わる日
 柔らかい女の子らしい字が便せんに綴られていた。
 

 書いた日が晴天だったこと、お昼に食べたランチが美味しかったこと、絵を描く事が好きだということ、将来、絵本作家になりたいという夢のこと。


 些細な内容だけど凄く気持ちの篭った文章で病気の事なんて微塵も感じさせない手紙だった。



 そして綴られる彼女が見ていた『僕』の事。


 手紙に書かれていた『僕』はとても正しい好青年だった。

 お喋りもなく黙々と地味な仕事でも最後までやりきる几帳面で真面目な性格だと表現されていた。
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