月光狂想曲‐悪魔の花嫁‐
ふと…横にある果物ナイフを手にかける
瞬時
私は自分の肌に鋭利な先を這わせる
「っ…!」
鈍い痛みが身体を駆ける
『何を…しているのだ?』
私の行為にあまり驚きもせず、ウァルドは私に質問を投げ掛ける
「正気を…正気を保っているのです。」
クッ…と自分で切り付けた左手を、痛みを堪えようと掴む
『なるほど…痛みで快感をしのごうと?
だが…無駄な抵抗だ。
俺が与える快感に勝るものはない。』
ウァルドは私が切り付けた傷口に、舌を這わせて行く
『…もったいない。』
そうだ
ウァルドにとって、人間の血は餌以外のなんでもないのだ