月光狂想曲‐悪魔の花嫁‐
気がつくと朝
私はむくりと起き上がる
そっと左手を見てみると、消えかけてはいるが傷跡がある
きっとウァルドが治療してくれたのだろう
ギュッと私は左手を握った
ウァルドの姿はない
きっと寝ているのだろう
悪魔は朝方から昼にかけては、全くといっていいほど行動しない
私はカーテンを閉じられ、暗闇と化した室内を見渡す
「…ウァルド様。」
『…なんだ起きたのか。
おまえは朝食が必要なのだな。
全く…人間の女は面倒臭い。』
これをまた無表情でいうから、ウァルドを取り巻く空気が冷たく感じる