月光狂想曲‐悪魔の花嫁‐



『あの子、心を無くしたんや。』


「え?」


『自分が恋をした時期の心をね。』


恋をした時期の心?



『わかりにくいよな、たしかに。
論理的に有り得ん話なんやろうけど、実際、魔力の強い奴は有り得るんや。』


「…?」


『その時期の気持ちとともに、その時期の【姿】もなくしたんだよ、アイルは。』



姿…も


『アイルは本気だった。
でもあの時のウァルドは、心が荒んでいた時期だった。
彼女も被害者だったんや。
前のシルフィアちゃんみたいに。』






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