月光狂想曲‐悪魔の花嫁‐



『おまえが壊れろ。』


意味深に私の耳元で囁かれた言葉は、私を甘く捕らえていく



『何も考えるな。
俺を身体全体で感じろ。』


チュ…と首筋に軽く愛撫がなされる


だけど



愛がない愛撫




つぅっと私の身体を滑る指先は、かぎられた傷口をも撫でる



「痛っ…。」


『痛いか?』



ウァルドは笑い、また傷口に触れる




『そう、痛いのだ。』



ウァルドは私の瞳を見る





< 35 / 391 >

この作品をシェア

pagetop