月光狂想曲‐悪魔の花嫁‐
「開けて下さい…!!
誰か!!!
誰か!!!!!」
その間にも彼女達の足音は遠のいていく
ドンドンと扉を叩く手は、段々と擦っていき血が滲む
「ど…どうしよう…!」
私は自分が閉じ込められたということよりも仁が気にかかっていた
仁の披露宴を止めなきゃならないのに、これじゃ間に合わない…!!
私は手をギュッと握る
そして側に窓があるのに気付き、近くにあった椅子で窓を叩き割る
その破片で頬を切ってしまった
私はそんなのお構いなく割れた窓をみたが、すぐに希望は失われた
鉄格子があるのだ
「ウァルド…。」
私は愕然と窓を見つめながら、絞り出すようにウァルドの名前を呟いた
それは静かな部屋に切なく響くだけだった