月光狂想曲‐悪魔の花嫁‐



ウァルドは先を行く


私はそれを追いかける



仁はただ呆然とそこに立っていた


ウァルドは仁に聞こえないように、フッと小声で笑った


「あ…あの…何処まで行くのですか?」


私がおずおずと聞くと、ウァルドは振り返る


『ここで、襲われたいのか?』


「え…?」


『吸血は…必ずしも失神する快感を心身に与えるのだ。
おまえは仁の前で喘ぎ、無様に倒れたいとでも言うのか?』



これはウァルドの優しさ?


それともただ私を、仁からはなしたかった事への口実…?



ウァルドがわからない…


なんでそんなに悲しい顔をするの?





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