恋するgirl☆☆~②~
「タケくん。落ち着いてられないだろうけど、今はじっと待つしかない。」
「は、はい。。」
とりあえずお父さんの隣りに腰を下ろした。
座ってはみたものの、じっとなんかしてられない。
だって、中でちなは男にはわからない未知の痛みとともに赤ちゃんに会おうと、必死で戦ってる。
なのに、俺・・・
すると、目の前に紙コップが出された。
見ると、熱いコーヒー。
「飲みなさい。」
「お父さん・・・」
コーヒーを一口。
なぜか、いつもより美味く感じた。
それに、少し心が落ち着いた。
「うまいだろ?」
「はい、うまいっす。」
「わしも、ここでこうしてコーヒーを飲んだ。今のタケくんのように何もできない事で落ち着かなくてな…。」
「はは…。男ってこんな時、無力っすね。」
「まぁな。だけどな、タケくん。」
俺は隣りのお父さんをみた。
お父さんは分娩室のドアを見つめながら、
「今は何もできない。ただ無事に子が産まれる事を祈るしか男には出来ない。
…だから、無事に我が子が生まれてきたら、沢山喜んでやればいい。沢山可愛がってやればいい。…沢山愛して、ずっと守ってやっていけばいい。」
「お父さん・・・」
「だから今は、祈るんだ。ひたすら、」
「はい!」
お父さんの言葉、俺一生忘れません。
そして、俺はじっと分娩室のドアを見つめ祈った。
元気に生まれてこい!ってね。