弁護士シリーズ作品短編集『格好いい奴等』
シャワーを浴びて風呂場から出ると…
「晧覬?お前これは一体なんなんだよ?お前一体、誰に怨まれてるんだ?」
昴は床の下に無造作に散らばった紙を手に取り俺に言った。
『弁護士をやってるとたまにそう言うFAXが家に届くんだよ…』
俺はバスタオルで髪の毛を拭きながら言った。
「嘘言うな!お前が他人から怨まれる様な仕事をして無いって言うのを俺が一番知ってる事だぞ?他人から感謝される事はあっても怨まれる様な事をお前がする筈が無いだろう?」
昴は俺にそう言った
確かに…
確かに…
弁護士と言う職業は感謝される事は多々ある…
でも…
今回は違うんだよ…
その紙は達哉に関する事なんだよ…
そして…
瑠璃に…
俺の大切な…
瑠璃に関わりがある話なんだよ…
俺は昴に何も返事をしなかった。
「晧覬?一体なんなんだ?この山の様な紙切れは?」
昴は俺に迫って来て言った。
『だから…だから何も無いって言ってるだろう?』
そう答える俺に…
「じゃ何で?達哉の名前や麻生瑠璃って言う名前がここに書いてあるんだよ?」
昴は俺にその紙切れを観せた。