アビリク
「え…!?まっ!!!?」

「ふふっ。可愛い。それに、男の子なのにそれだけじゃ足りないでしょ?」

先生はいたずら顔で、動揺する俺の手元を指差した。手には、パンとコーヒーの入ったレジ袋がぶらさがっている。

「あんまからかわないでくださいよ…最近金欠なんで仕方ないんっす。」

俺は出来るだけ落ち着いた口調で話した。動揺を隠すようにレジ袋を見下ろす。

「じゃ、私のお弁当分けてあげるわ。いつも余分に作っちゃって食べるの大変なの。」

先生は再び輝かしい笑顔を俺に向ける。

「…じゃあ。」

結局俺はその笑顔に負け、お昼を一緒にすることにした。
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