アビリク
先生はシートをしき、おせちなどでよく使われる大きな正方形のお弁当箱を取り出した。
まるでピクニックだな。と思いつつも、俺は先生に促され、そのシートに一緒に座った。

中身は色とりどり豪華な料理が詰め込まれていて、まるでプロが作ったんじゃないか?って思うほどどれも美味しかった。

「ごちでした。めちゃくちゃ美味かったです!」

両手を合わせ軽く頭を下げると、先生は、ニコッと笑った。

「じゃあ、話しましょうか。私が貴方を待っていた訳を。」

先生のその言葉に、まわりの空気が一気に冷たくなった気がした。俺は息を呑み、黙って頷く。

「秋草くん、単刀直入に言うわ。」

「は、はいっ!」

俺は雰囲気的に、楽な態勢から正座に座り直した。
< 12 / 54 >

この作品をシェア

pagetop