アビリク
「そう?でも私はその瞬間を見たことがあるわ。貴方には…稲妻を操る力があるの。」

先生は真直ぐ俺を見据えて話す。
しかし、その話の内容があまりにも馬鹿らしく、俺を苛立たせた。

「そんな現実離れたこと……俺、教室に戻るっす。」

耐え切れなくなった俺は立ち上がり、入り口の扉の前に立った。

「秋草くん、」

「もう俺に構わないでくれ!!」

先生の言葉をさえぎり叫んだ俺は、中に入ろうとした。

その時、背後で何かが光ったのがわかった。

──ドカーン!!!!!!

同時に、凄まじい音が鼓膜を刺激した。
反射的に俺は振り向いた。

「──っ!!!?」

衝撃的な光景に声が出ない。
いつの間にか真っ青だった空には黒い雲が広がり、校庭の桜の一部が、黒焦げになっていたのだ。

「…これが現実よ。」

先生の声が風に乗って俺の耳に入った。

「19:00。近くのあおい公園に来なさい。もっと詳しく教えてあげるわ。」

「……。」

俺は何も言わず、その場を去った。

今のは一体…。
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