アビリク
「もう鬼ごっこは終わりかなぁ〜?」

男達はニヤニヤしている。
俺は意を決して叫んだ。

「おい!何してんだよ!!」

「あ゙ぁ?」

3人の視線が一気に俺に集まった。

俺は動じない。以前絡まれたヤクザよりかは全然怖くないから。(しかもその後何故か仲良くなった)

「おや?ヒーローのお出ましかな?」

男達はゲラゲラと笑う。その奥ではあの少女がうずくまっていた。

「へぇ〜。自分等が悪者だって自覚してんだ?」

俺はそう言い、一緒に笑ってみせた。途端に空気が変わる。いつの間にか笑っているのは俺だけになっていた。

「あ゙?喧嘩売ってんの?」

あ、やべぇ。喧嘩嫌いなのに。

「別に売ってねぇよ。」

俺は、ちらっと少女を見た。

あれ?

男達はまたニヤニヤしだす。

「あっれー?もしかして喧嘩駄目とか?」

「駄目じゃん、ヒーロー!」

「それじゃあ、ヒロインの芽音ちゃんを助けられないよぉ?」

男達は次々に俺に言葉を浴びせる。

少女がよろっと立ち上がったのが見えた。

「誰がヒロインだって?」

「「「「!?」」」」
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