アビリク
その声に男達はおろか、俺までもが驚いた。

『君は…。』

すれ違った時に聞いた少女の声を、姿を思い出す。

「あ、あっ…れぇ?」

さっきまで活きがよかった男達は、後ろの“少女だった人間”を見てうろたえた。

街灯に照らされ、その姿があらわになる。

「だ、誰だよ!?」

さっきまで少女だと思っていた人間は、身長180センチはあろう青年になっていた。

「芽音ですが。」

彼はただそれだけ答えた。確かに雰囲気がどことなく少女と同じだが…男3人はあり得ないと言わんばかりに顔を歪めている。

「ああ。もしかしてそっち系ですか?本当キモいんですけど。」

芽音と名乗った青年は丁寧に喋る。

「なっ…お、男に興味なんてないね!行くよ!」

男達は鍔を吐き、逃げるように去っていった。
< 23 / 54 >

この作品をシェア

pagetop