アビリク
先生の家は、2階建ての可愛らしい一軒家だった。

「ただいま〜。」

「おじゃましま〜す。」

─おじゃまします。─

「お、おじゃまします…。」

家に入ると、ぱたぱたと階段を駆け降りる音が聞こえてきた。

「おかえりなさい!」

うれしそうに駆けてきたのは小学校低学年くらいの少年だった。

「え…えぇ!?先生子持ちだったんですか!!!?」

「正確に言うと養子よ。これでも貴方たちよりも歳上なんだから。」

…え!?

「はじめまして!桐生 竜充(キリュウ タツミ)、75才です☆はなしはきいてるよ。海斗お兄ちゃん、でしょ?」

「は、い…。」

死んだじいちゃんと同い年?この子が?

だって今俺を海斗お兄ちゃんって!

「竜充もアビリクなのよ。」

ああ、成る程。
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