アビリク
「で、私の自転車どこ?」

腕組をした美紅は俺を睨み付ける。

怖い…。

「こ、…公園、です。あおい公園。」

自然と敬語になってしまった。

「はいぃ?」

「マジごめん!」

俺はぐっと目をつむり、両手を合わせて謝罪した。
すると、盛大なため息が聞こえた。目を開くと、美紅が少し柔らかい表情になっている。

「海斗のドジっ子は今に始まったことじゃないけどここまでとはね…。ほら、行くよ。」

美紅はピッと、外を指差した。

「え?」

「まさか、自分の過ちをそのままにするつもり?」

「はは…まさか……行くっす。」

そして俺は、美紅とチャリ取りかつ、登校することになった。
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