アビリク
「美紅、逃げろ。」

「海斗は!?」

「大丈夫だから、ほら!」

俺の声を合図に、美紅は入り口に向かって走っていった。

「自転車ちゃんと返してよね!」

「了解!…っと。」

時の旅人は美紅には目もくれない。

「さ。準備はいいかな?」

「…お、おぅ。」

「そ。」

短い返事。瞬間、視界から消えた。

「は!?」

「う し ろ だ よ 。」

「──っ!」
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