先生とあたしのヒミツ☆

なっちゃんが少し考えるような顔をしたから、あたしは慌てて付け加える。

「あのね、無理ならいいんだ。だって今さら突然だし、何も準備とかしてこなかったし。ただちょっと思っただけで、どうしても行きたいってわけじゃないの。」

アタシの言葉に、今度はなっちゃんが慌てる。

「無理なんてそんな!美緒ちゃんなら今から頑張れば全然大丈夫よ。15年もピアノ続けてる子なんてそんないないし、ピアノの実力は十分あるわ。音大だって行けると思う。ただ突然だったから、どこかいい大学があるか考えてたの。」


なっちゃんの言葉にアタシは安心した。

「ほんと?」

「えぇ。ちょっと遅いけど、今から頑張れば間に合わないことはないわ。アタシでよければ力になるし☆アタシが音大受けたのなんてもう20年も前だけどねー、あー歳とったなぁ…」

なっちゃんが軽く凹むから、アタシは笑ってしまった。

大人になっても可愛いらしいなっちゃん。

なんとなく雰囲気は健ちゃんに似てる。

だからかな、健ちゃんと始めて会ったあの日、知らない人なのにすごく安心出来て、全てをさらけ出すことが出来た。


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