先生とあたしのヒミツ☆


「…でも健は、複雑な思いを抱えてたんだって、後になって知ったの。

高校で離れたコトによって、健はアタシの存在の大きさに気づいたって。あたしを好きだって気づいてしまったところに、あたし達は大学で再開した。

健はずっと、あたしを想ってくれてたらしいんだけど、あたしはその時敦しか見えてなくて、健に頼んで仲を取り持ってもらったのよ。

健はいいヤツだからさ、断れなかったんだと思う。あたしだったら好きな人にそんなこと頼まれたら、つらくて友達辞めちゃうと思う。ホントいい人すぎなんだよね、そーゆートコが好きだったんだけど。」

半泣き笑いみたいな顔で、夏美さんが微笑む。

夏美さんが悪いわけじゃない。

ただ、運命のイタズラで、二人の思いは噛み合わなかった。

両思いだったのに、すれ違ってしまった。

これほど切ない失恋が、あるだろうか。

健ちゃんは、きっと過去の自分を悔やんでるかもしれない…。

だってもし、もっと早く二人の思いが通じあってたら、きっと今夏美さんの隣にいるのは健ちゃんだった。

そうだったら、アタシにとっては良かったはずなのに、そうじゃなくてほっとした自分が何故かいた。


何で?



健ちゃんのコト、好き…なのかな?


この日から、アタシは何となく健ちゃんを意識するようになった。



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