先生とあたしのヒミツ☆
健ちゃんが申し訳なさそうに有也に聞く。
「E組の山本 有也です。数学は違う先生に教えてもらってるんで、俺のことは知らないと思います。」
有也の答えに、健ちゃんが少しほっとした。
「そっか。お前ら2人で帰りか?気をつけて帰れよ。」
健ちゃんがそう言って、有也が返事をする。
何だかいつもより素っ気なく感じるのは、有也がいるから、生徒として接してるせい?
わかってるけど、仕方ないことだけど、気分は沈む。
「じゃあね、健ちゃん。また明日。」
手を振って、アタシと有也は歩きだす。
健ちゃんの車のエンジン音が後ろで聞こえなくて、まだその場にいるのを後ろで感じた。
でも振り返って見ることも出来ず、健ちゃんが何をしているのかはわからない。
有也と楽しそうに歩くアタシを、見ているのか、それとも車で何かしていて、気にも止めていないのか。
気になったけど、結局アタシは、一度も後ろを振り向かず、有也と昔話しに夢中になった。
後ろを振り向くのが、怖かったのかもしれない。
だって健ちゃんには彼女がいるんだもん。
アタシが誰と一緒に帰ろうと、気にも止めないだろう。