先生とあたしのヒミツ☆



健ちゃんが、卒業式にアタシをふってくれて、本当は良かったのかもしれない。

じゃなきゃアタシは、今ここにいなかった。

もし、あの時、健ちゃんと付き合っていたら、アタシは健ちゃんと過ごす時間を大切にしすぎて、練習にも身が入らなかったかもしれない。

そんな簡単に二位入賞出来ちゃう程、うちの大学は甘くないし。

実力のない者に、奨学金を与えてまで、留学なんかさせない。

もしかしたら、アタシはわざと練習を手を抜いて、留学しないで健ちゃんと一緒にいようとしたかもしれない。


二位入賞出来なければ、留学を諦める理由が出来るから。


そうやって、きっと、夢を諦めてたかもしれない。

努力もしないで、中途半端に大学を終えていたかもしれない。

健ちゃんの判断は、きっと正しかったんだ。

今だって離れるのは凄く辛いのに、一年前のあの日から付き合っていたら、アタシは今この場から、逃げ出していたかもしれない。


ありがとう、健ちゃん。

今は、健ちゃんの為にも頑張らなきゃって思えるよ。


自分の気持ちを押し殺してまで、応援してくれた夢だから。

きっと健ちゃんも凄くつらかったはずだから。


だから頑張らなきゃいけないの。


寂しくなんかない…


これは、別れじゃなくて、新しい始まり。


< 304 / 306 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop