パンデミック
「WHO?」

捜査官は警部に聞き返した。

「あいつらは適切な判断を下す。世界政府公認の団体だしな…」

―大阪中央病院―

(ドッドッ…)

「お父さん!!お父さん!!」

ベッドの上でマッサージをするオレの兄と防護服を着た母と娘が泣き叫んでいた。

父親と思われる体の口周りは血まみれだった。

(…ピーーーーッ…)

「お父さん!!!お父さん!!!」

「下がって…」

(ドクンッ!!)

(…ピーーーーッ…)

「チクショウ!!」

(ドッドッドッ…)

(ピーーーー)

「…ダメだ。…14時25分死亡確認…。」

「ねぇ、お父さんは?」

「まゆ、まゆ…!!」

母親は娘の体を抱き、病室から出た。

「この人殺しー!!!」

少女は病室をでる瞬間に兄貴に向かって泣き叫んだ。

「…真鍋…。悪い、ちょっと風に当たってくる。」

「ちょっ、井上先生!!」

兄貴は助手にそう言い託し、屋上に向かった。


(ピュー…)

外の風は想像以上に冷たいものだったがその時の兄貴には限界だったようだ。

「…もう無理や…。」

(カタッ…)

「何がもう無理やって…?」
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