パンデミック
「城島…」

屋上で黄昏る兄貴の前に現れたのは同僚の城島外科医だった。

「医者が諦めてもうたらもう日本は終わりやで!」

「でも患者はドンドン死んでいくし…、オレもお前もいつ感染するかわからんねんぞ!?」

「…井上…、なんでお前外科医になったんや?
手術失敗するんが怖いんやったらやめろよ?
あんな、医療には犠牲があってこそなんや。
感染にビビってたら今まで死んだやつがどう思う?」

(……!!!)

「…そうやな…。オレが甘ったれてたわ。行くか、城島!!」


―宮崎県―

「…ここが問題の養鶏場ですね。」

「やっと来てくれたか!!」

警部の目の先にいたのは1人の男だった。

「どうも、WHOから来た山下徹(やました とおる)と申します。」

「あぁ、オレは警部の守屋一郎(もりや いちろう)まぁ警部で呼んでくれ。」

「わかりました。
この養鶏場の鳥は全て鳥インフルエンザにかかり処分…、そして養鶏場の管理人、そしてその家族などに感染者が多数…。
間違いありませんね。
ここが発症源です。」

「これから一体どうすれば?」

「今まだワクチンは開発中です。ですが日本のウイルス研究所に病原体を持って行き、開発を早める可能性があります。」

「つまり…」

「全てのウイルス研究所に病原体を提供するべきです。」
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