パンデミック
「PLLLLLLL…」


[…はい?]

「もしもし、真理?」

[アンタ掛け直すん早いなぁ!!んでどうしたん?]

電話の奥で真理は笑っていた。

「あの、あれだ!…USJ行けるようになったで!」

[…本間に?大会は?まさかずる休みじゃないやんな?]

「あほか!!部長やってんねんぞ!!ずる休みなんかするわけないやろ!!」

[んじゃ本間に行ってくれるんや!!朝から行こなぁ!!]

「おう、んじゃ明日朝9時に三角公園な!」

[わかった!バイバイ!]

(プーッ…プーッ…)

「ったく張り切りよって。」

その日オレは安らかに眠ることができた。


―大阪中央病院―

「やっと夜になって落ち着いたか…」

日に日に増える患者と、死亡者によって医師達の披露はピークに達していた。

「城島…今日はありがとうな。」

「あっ?なんのことやろ!フフっ…」

病院の廊下にたくさんの医師がもたれながら話す、この時が唯一の寛ぎだった。

「オレ…今日ある娘さんに言われたんだ。“この人殺し”ってな…。」

兄貴は城島につぶやいた。

(…?)

「オレの家族はまだ誰も感染してへんからわからんけどやっぱ死んだらつらいよな…!?」

兄貴の目から涙が溢れ出た。

ずっと我慢していたのだろう。

「井上…。……大丈夫や。…いつかオレらのこともわかってくれるわ。」

「そうやな…。ありがとう城島。」
< 18 / 38 >

この作品をシェア

pagetop