パンデミック
―大阪中央病院―

14時20分…


「タミフルが効きません!!」

「いいから打つんだ!ワクチンがないかぎり仕方ない!!」

病院内の動きはさらき激しく動いている。

「井上先生!!大倉先生の様態が急変しました!!」

(!!!!?)

病室の空気がからりと変わってみんなの手が止まった。

「大倉先生はオレと山口先生で診る!!みんなは治療を続けて!!」

兄貴はすぐに大倉先生のいる隣の病室に向かった。

(ピピピピッ…)

「山口先生!!大倉先生のご家族と連絡をとって早く呼んでください!!早く!!」

「わかったわ…」

山口先生は病室を出て行った。

「ぐおぉぉおぉぉあぁあぁ!!!」

大倉先生は雄叫びをあげ、体が尋常じゃないくらい暴れていた。

「…はぁ…はぁ…井上か…?……俺はもうダメみたいだ…」


「何言ってんすか先生!!」

先生の布団を掴み叫んだ。

「…はぁ…、…今日は何日だ…?」


「今日は24日ですけど…」

(…そうか…!!)

「クリスマスだったのか…。俺はまだ死ねない…、愛香にまだプレゼントを…」


(バタバタ…)

「二人とも、このマスクとゴーグルをつけてください!!」


「お父さん!!」

「あなた!!」


病室に大倉先生の妻と娘さんが入ってきた。


「文香…愛香…」
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