パンデミック
「長嶋先生…こっから先は戦場ですよ…」

更衣室で兄貴が長嶋に話し掛けた。

「知ってます。エボラの時に戦場はもう味わってますから。」

ゴム手袋をキュッと締め、ゴーグルをつけた。

「井上さん、よろしくお願いします。」

「…早く行きましょう。」

兄貴と長嶋、その他の医師は戦場に向かった。


「井上先生、また新しい患者です!!高校生男子17才、血圧127脈拍120…」

「よしすぐに入れろ、絶対助けるぞ!!」


(ガラガラ)

患者がベットごと病室に入ってきた。

「…ゼーハーッ…ゼーハーッ…」

「…君は…!!」


―自宅―

「…えっ修也が感染した?」

オレは今修也の母と電話で話している。

「うそでしょ?この間まであんなに元気だったのに?」

[…今病院に運ばれてったわ。あの子一体どこで…]


オレは頭の中にすぐUSJのことが思い浮かんだ。

(…まさかあの時…)

[とりあえず拓海君も気をつけてね。]

「…はい。ありがとうございました。」

(…修也が感染した…)


その現実は受け止めたくなかったが、同時に自分も感染している可能性がかなり高くなった。
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