パンデミック
―大阪中央病院―

次の日に入り、満員の病室に兄貴は入った。


「山田修也君…、拓海の友達かい?」

兄貴は修也に体温計を渡して言った。


「ハァ…ハァ…“井上”…」

修也は兄貴の名札を見て言った。

「…先生が拓海の兄ちゃんか…。」

(ピピピッ…)

「39度2分…、高熱やね。いつも拓海が世話になってるみたいで…。」

体温計を取り出し言った。

「拓海…うつしたかもしれへん…」

修也の目から涙が出た。

「大丈夫。うつったら山田君と一緒に治してあげるから。」

「…ありがとうございます…。」

(バタバタッ…)

「井上先生、また重傷患者が…!!」

病室に他の先生が走ってきた。

「わかりました、すぐ行きます!!」


―大阪微生物研究所―

「松田ぁ、大丈夫かぁ?」

「すいません…井上教授…。僕がきっかけで…」
「なぁーに気にすんな、お前が原因じゃないよ。下川、長尾お前らこそ大丈夫か?」

「…大丈夫です。」

「…………」

「…長尾、大丈夫か?」

親父は返事のない長尾教授に近寄った。

「長尾?」

「……俺死ぬのかなぁ?」

「馬鹿、死ぬわけねぇだろ!」

「教授…怖いよ…。」
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