パンデミック
―次の日―


オレはいつものように電車に揺られ学校に向かう。

気のせいかマスクをしてる人が増えた気がする。

そしてその人を見ると嫌な気持ちになった。


『“梅田、梅田でございまーす”』

駅の改札を抜け、学校へと向かった。

(ガラガラ…)

「みんなおはよう!!」


『…………』

こんなことを言っても返すやつは少ないが、今日はやけに静かだ。

そしてその理由がわかった。

「なっ…、一体…」

「なんだこれ?」

後ろを振り向くとマスクをした吉田が立っていた。

そしてその理由とは、黒板にあった。


[死ね]

[新型インフルエンザ]

[ウィルス]

[きもい]

[病気]

………

吉田の机にも似たようなことが書かれていた。

「オイ、これは一体なんなんじゃ!!?」

オレはクラスに向かって叫んだ。

「吉田ぁー、お前うつすなよー!ハハハ」

…久本!?

「そぉよ吉田君、今日は家に帰った方がいいわ…。」

「そーじゃ早よ帰れボケェ!!」

クラスのやつは口々に叫んだ。

「う…うわぁぁあぁあ…!!」

吉田は泣き叫び教室を飛び出た。

「お前ら吉田は新型インフルエンザじゃねーだろ!!」

オレは黒板の文字を消し始めた。

「拓海…!!」

修也も消し始めた。

たった一つのことをテレビが放送するだけで傷つく人がでる。

これはうちの学校以外でも起こっているかもしれない。

だけどこんなことができる内はまだ余裕があったのだ。
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