片想い・・・君しかみえない。

港の奥の
防波堤に
バイクを止め

彼女のあご紐を
外す俺。

何も言わず
大きく
深呼吸する二人。

しばらく
沈黙のあと
ポツリと言う彼女

「いいね。」

「うん。いいね。」

「こんなとこ
 知ってたの?」

なんとなく
疑い口調で問う
彼女。

「いいや。知らないよ!
 ただ走ってたら
 ここに来た。」

「そうなんだ!」

嬉しそうな彼女。

知らない道を
知らない場所を

大好きな彼女と
知る。

いいところがあるから
今度行こう!

じゃなく

いいところを
二人で見つける。

二人だけの時間。
二人だけの場所。

同じ時間を過ごした
証拠。



< 60 / 152 >

この作品をシェア

pagetop