チャンドラの杯
僕とココは、シドたちを浜辺へ誘った。
ディーディは建物の前で大人しくしている。シドが眠っているのだと言ったのでディーディは残して、僕らは塀とは反対側の町の外れへと歩いた。
今日みたいに晴れた日の午後、妖精はよく浜辺に現れるのだ。
「いた!」
浜辺に着くなり、ココが歓声を上げて砂の上を駆け出していった。
「ココ! 槍を持ってないか確かめて! また刺されるよ」
僕は慌てて声をかける。ココはすぐに両手を合わせて戻ってきた。今回は大丈夫だったようだ。
「捕まえたよ」
「見せて! 見せて!」
ソーマがはしゃいだ声を出して、ココの手の中を覗き込む。シドも興味深そうにしている。そおっと、ココが合わせた手を開く。黒い羽の妖精が、彼女の掌で静かに羽を閉じたり開いたりしていた。
天鵞絨(ビロオド)のような黒い羽には、青と白のキラキラ光る模様がある。
「妖精?」
ソーマがなぜかガッカリした声を出した。
ディーディは建物の前で大人しくしている。シドが眠っているのだと言ったのでディーディは残して、僕らは塀とは反対側の町の外れへと歩いた。
今日みたいに晴れた日の午後、妖精はよく浜辺に現れるのだ。
「いた!」
浜辺に着くなり、ココが歓声を上げて砂の上を駆け出していった。
「ココ! 槍を持ってないか確かめて! また刺されるよ」
僕は慌てて声をかける。ココはすぐに両手を合わせて戻ってきた。今回は大丈夫だったようだ。
「捕まえたよ」
「見せて! 見せて!」
ソーマがはしゃいだ声を出して、ココの手の中を覗き込む。シドも興味深そうにしている。そおっと、ココが合わせた手を開く。黒い羽の妖精が、彼女の掌で静かに羽を閉じたり開いたりしていた。
天鵞絨(ビロオド)のような黒い羽には、青と白のキラキラ光る模様がある。
「妖精?」
ソーマがなぜかガッカリした声を出した。