チャンドラの杯
ココの手から空へと、黒い羽をひらひら動かして妖精が舞い上がった。
「ソーマとシドは旅をしてきたんだよね」
青い空を自由に飛んでゆく妖精を、ココは眩しそうに見上げている。
「外ってどんな世界?」
「そうだなあ・・・・・・」
シドが困ったように金色の髪の毛を掻いた。
「一言では説明しづらいな」
「外にはヤッカがたくさんいるでしょう。危険じゃない?」
「ヘーキだよぉ」
ソーマがクスクス笑った。
「シドが守ってくれるもん。ねーシド」
微笑んで、シドはソーマの頭を撫でた。
ソーマの隣でココがクスクス笑って、ソーマの耳元に口を近づけて囁いた。
「素敵だね。シドってどんな人?」
ソーマも、黒色の頬をきゅっと吊り上げてクスクス笑った。
「優しい人だよぉ。シドはすっごく優しい人」
魔法の呪文を唱えていた時のように幸せそうに、ソーマは言った。
それからソーマは僕を見て尋ねた。
「シオンたちは病気なの?」
「そうだよ」
「いつから病気なの?」
「ずっと」
「ずっと?」
「ずっと、だよ。生まれた時からずっと病気なんだ」
「ソーマとシドは旅をしてきたんだよね」
青い空を自由に飛んでゆく妖精を、ココは眩しそうに見上げている。
「外ってどんな世界?」
「そうだなあ・・・・・・」
シドが困ったように金色の髪の毛を掻いた。
「一言では説明しづらいな」
「外にはヤッカがたくさんいるでしょう。危険じゃない?」
「ヘーキだよぉ」
ソーマがクスクス笑った。
「シドが守ってくれるもん。ねーシド」
微笑んで、シドはソーマの頭を撫でた。
ソーマの隣でココがクスクス笑って、ソーマの耳元に口を近づけて囁いた。
「素敵だね。シドってどんな人?」
ソーマも、黒色の頬をきゅっと吊り上げてクスクス笑った。
「優しい人だよぉ。シドはすっごく優しい人」
魔法の呪文を唱えていた時のように幸せそうに、ソーマは言った。
それからソーマは僕を見て尋ねた。
「シオンたちは病気なの?」
「そうだよ」
「いつから病気なの?」
「ずっと」
「ずっと?」
「ずっと、だよ。生まれた時からずっと病気なんだ」