チャンドラの杯
マザーが住んでいるのは、僕らの浜から歩いて少しの場所にある海に突き出した断崖の上だ。
上、というか──蔦や苔やいろいろな植物に覆われていてわかりづらいのだけれど──断崖自体が変わった形の大きな建物で、マザーは一人でその中に住んでいる。
崖の前まで来ると、シドは海のような蒼い瞳でしげしげと頭上を見上げた。
「ここがマザーの家だよ。どうかしたの、シド」
「いや・・・・・・面白い家だね。一人で住むにはちょっと大きすぎる気がするな」
「うん。普段はマザー一人だけど、ご飯の時には中の食堂に町のみんなが集まるんだよ」
僕らは浜に面した入り口を潜って建物の中に入る。不思議な灯りが、窓の無いつるりとした廊下を照らしている。
廊下には代々のこの町の住人──病人たちを描いた絵が飾ってある。みんなを一箇所に集めて描いた絵だ。僕自身はあんまりじっくり眺めたこともないけれど、さながらこの町の歴史博物館かなと思う。
絵の下には日付のプレートが貼られている。
入ってすぐのところに飾られた絵は百年以上も昔のものだ。
上、というか──蔦や苔やいろいろな植物に覆われていてわかりづらいのだけれど──断崖自体が変わった形の大きな建物で、マザーは一人でその中に住んでいる。
崖の前まで来ると、シドは海のような蒼い瞳でしげしげと頭上を見上げた。
「ここがマザーの家だよ。どうかしたの、シド」
「いや・・・・・・面白い家だね。一人で住むにはちょっと大きすぎる気がするな」
「うん。普段はマザー一人だけど、ご飯の時には中の食堂に町のみんなが集まるんだよ」
僕らは浜に面した入り口を潜って建物の中に入る。不思議な灯りが、窓の無いつるりとした廊下を照らしている。
廊下には代々のこの町の住人──病人たちを描いた絵が飾ってある。みんなを一箇所に集めて描いた絵だ。僕自身はあんまりじっくり眺めたこともないけれど、さながらこの町の歴史博物館かなと思う。
絵の下には日付のプレートが貼られている。
入ってすぐのところに飾られた絵は百年以上も昔のものだ。